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「サイコヘルメット教の集い・スペシャルイベント2019夏」イベントレポート

SPECIAL. 05
7月7日(日)、埼玉・春日部市民文化会館で開催された「モブサイコ100Ⅱ サイコヘルメット教の集い・スペシャルイベント 2019夏」。1500席ある大ホールには大勢のファンが詰めかけ、また七夕にかけて、会場ロビーには「ファンからのお願いごと」を張り出すスペースも。ファンの溢れんばかりの熱気でいっぱいの中、いよいよイベントが開幕となる。
 まず最初にステージに登場したのは、主人公の“モブ”こと影山茂夫を演じる、伊藤節生。彼による開会宣言からスタートするはずが、アナウンスで挨拶を促された伊藤は、口を開けたまま固まった状態に……。第1話での、生徒会長選におけるモブの姿を踏まえた演出に、会場からは大きな笑い声が上がった。
会場から声援を受けて開会宣言を無事に行うと、ついにメインキャストが登場。OP映像に乗せて、障子にシルエットが浮かびあがると、それぞれポージングを決めながら、芹沢役・星野貴紀、影山律役・入野自由、エクボ役・大塚明夫、霊幻新隆役・櫻井孝宏、伊藤節夫の順にメインキャスト陣が現れると、客席からは大きな歓声が上がった。
 七夕にちなんで、キャスト陣からの願いごとを交えつつ、挨拶が披露されると、さっそく最初のコーナーに突入。スペシャルゲストの立川譲監督も壇上に加わった「サイコトーク」では、テーマ別で事前にファンから集計したアンケートを「ベスト5」形式で紹介しつつ、『モブサイコ100Ⅱ』の名場面を振り返ることに。昼の部では「ファンが選ぶ最も笑ったシーン」「最も興奮したアクションシーン」という、2つのテーマでトークが展開した。
「最も笑ったシーン」第1位に選ばれたのは、第11話の「霊幻による正当防衛ラッシュ」のシーン。櫻井が「(大塚)明夫さんのナレーションがまた絶妙なんですよね。大好きなシーンのひとつです」とコメントすると、立川監督は「第2期でここまではあまり、霊幻の必殺技が出てくる機会がなかったんですが、このシーンでは霊幻が登場したことによる安心感も相まって、緊迫した場面から一気に転調する感じがありますね」と話す。
 そして「最も興奮したアクションシーン」の第1位に選ばれたのは、同じく第11話の「テル&律&元傷メンバーVS島崎」の戦い。島崎の圧倒的な強さは、キャストにとっても印象が強かったらしく、入野は「全員で力を合わせて強敵を倒すという、少年漫画の王道らしい展開がいいですよね」。また立川監督にとっても、この島崎に関する演出は印象的だったらしく、「瞬間移動でパッパッと背景だけが入れ替わる演出がすごく新鮮で。こんなに強い超能力だったんだ、と改めて思わされました」とコメントした。
 一方、夜の部で披露されたテーマは「最もお気に入りの変顔」と「最も感動したシーン」。「お気に入りの変顔」第1位は、第6話の「友達と歩くモブを見つけてしまった霊幻の顔」。立川監督によれば「アニメーターに左手で描いてほしい、とお願いした」とのことだが、大塚がこの霊幻の顔を「猫がウ〇コをしているときみたいな顔」と形容すると、客席は爆笑の渦に包まれる。
 次のトークテーマ「最も感動したシーン」の第2位に選ばれたのは、第1話の「原稿用紙を拾い集めるモブ」。伊藤にとって、第2期で一番演じたかったシーンのひとつだったらしく、アフレコ収録の際には、演じられて嬉しい一方、プレッシャーでドキドキしながら収録したという。「第1話なのに、最終回みたいなキレイな終わり方をするんですよね。今でも、印象に強く残っているシーンです」(伊藤)。また栄えある第1位に選ばれたのは、第7話の「会見を終えた、霊幻とモブの会話」。第2期の中でも屈指の名シーンだが、櫻井は「今、改めて見ると『モブサイコ100』をやってきた中でも、一番難しかったシーンなのかなと思う」。またここでの櫻井の演技に対して、大塚は「しつこくない、too muchじゃないところがいい」と大絶賛。その一方で立川監督は、回想と現在のシーンの繋ぎ方で頭を悩ませたと話す。「カメラがソファを回り込むというアイデアが思いついたときには、これで完成したな、という感覚がありました」(立川監督)。
 さて、ひとしきりトークで盛り上がったところで、次はこのイベントで初上映となる完全新作OVA『モブサイコ100 第一回霊とか相談所慰安旅行~ココロ満たす癒やしの旅~」の上映へ。この新作は、新たに芹沢をメンバーに加えた霊幻やモブたち、霊とか相談所の一行が、冬の温泉旅館に「怪現象の究明」という名目で、旅行に出かけるというエピソード。もともとは「とことんまで霊幻を追い詰めよう」というコンセプトからスタートし、原作者のONE先生も交えてアイデアが練られたエピソードだという。
 劇中、次第に追い詰められていく霊幻の姿に、観客からは大きな笑い声が沸き上がり、いかにも『モブサイコ100』らしい、アクションシーンも大盛り上がり。上映が終わると再び、キャスト陣がステージに戻り、このOVAをめぐってトークが交わされた。
 入野が「人って追い込まれるとこんなにも面白いのか、と思えた」と話すように、トークで話題に上ったのは、やはり霊幻の「追い込まれ具合」。極限にまで追い詰められた霊幻の行動は、立川監督自身のアイデアによるものだという。「あといつもの面々に芹沢が加わると、こんなにも話がねじ曲がっていく。そういうところも面白いなと思いました」(立川)。
また、一行を旅へ誘うことになる重要なサブキャラクターの旅館の女将。このキャラクターはもともと、声を演じている井上喜久子さんをモデルに、デザイナーの亀田祥倫がデザインを新たに起こしたもの。さらに、デザイン作業を進めていく中で、どんどん某名作SFアニメのヒロインに、外見が似ていったという。「みんなのアイデアが、どんどんポジティブに変換して、プラスされていくところが、この作品らしいですね」(入野)。
 また、このエピソードで初めて本格的に霊とか相談所のメンバーとなった芹沢を演じる星野は「普段の芹沢がどんなふうに行動するのか、今回のOVAで、ありありと感じ取れましたね。もし次があったら、どう動くのか。すごく楽しみになりました」と、続編への期待感を窺わせた。
 さて、OVAに関するトークが盛り上がったところで、いよいよ次は主題歌を担当したsajou no hanaが壇上に登場し、『モブサイコ100』『モブサイコ100Ⅱ』主題歌を披露するライブコーナーがスタート。1曲目の、第2期オープニング曲「99.9」が始まるとともに、会場は総立ち状態に。続いて、第2期エンディング曲の「メモセピア」「目蓋の裏」が披露され、そこから第1期のオープニング曲「99」へなだれ込むと、観客のボルテージは最高潮に達する。
 ボーカル・sanaによる、華奢な外見とは裏腹の、ダイナミックな歌声がホールいっぱいに響くと、そこはもうすっかりエモーショナルな『モブサイコ100』世界に。後半では「いきるひとびと」「グレイ」が演奏され、間のMCでは、メンバーの渡辺翔やキタニタツヤによる楽曲解説も披露。「『モブサイコ100』はどの登場人物にも、すごく共感できるところがある。曲自体、すごく楽しく書くことができたし、どのキャラクターにも例えられるような歌詞になれば、と」(翔)。「生きていれば逃れられない人間関係というものがあるし、それに向き合わなければいけない。僕は個人的に、そういうメッセージを原作から受け取って、曲にしました」(キタニ)。1500人のファンがひとつになった――そう感じることができる、あっという間の30分だった。
 そして最後は、ライブを披露したばかりのsajou no hanaの3人に加え、キャスト陣が再び壇上へ。ひとまずアニメは第2期で一旦、完結したものの、まだまだ映像化されていない原作もあり、また今回の完全新作OVAのようにオリジナルエピソードで展開する可能性も……。閉幕の挨拶では、キャスト陣から第2期の「その先」に向けた、期待が語られた。「みなさんから“続きを見たい”というコメントもいただいて、役者としてはとても嬉しい限りです。来年、再来年とまたこういう場で会えるように、100話のその先のモブ君を演じ、またみなさんに見ていただけるように、一緒に『モブサイコ100』を盛り上げていきましょう!」(伊藤)。